日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
ヴイタミンCに關する研究(第2報)
果實中のヴイタミンC含量の變異
滿田 久輝
著者情報
ジャーナル フリー

1938 年 14 巻 11 号 p. 1335-1340

詳細
抄録

各種の果實中のヴィタミンCを定量した結果,果肉中のヴィタミンC量は果實が成熟中に受けた陽光量とほぼ比例することを見出した.
(1) 先づ梨果につきては,共のヴィタミンC量が少ない故に顯著な相違は認め得なかつたが,果樹園の東面,南面に於て結實したものは西面,北面のものに比して,Cを多く含む事は確かである.一本の梨樹に着生した梨果にありても,陽面のものは陰面のものに比してヴィタミンC量が多くあつた.
(2) 柿果につきても梨果と同様な試驗を行ひ,陽光を多く受ける果樹並に樹枝に着生成熟したるものは,然らざるものに比して遙かに多くのヴィタミンCを含んで居ることを實證した.
(3) 成熟末期23日間被覆したる柿果と,然らざるものとのC量を地較した結果として,柿果にありても其のうちのヴイタミンC最は受光量に比例することを一層確め得た.
(4) 夏蜜柑汁中のヴイタミンC量と傾斜画に於ける果樹の位置の關係につき實驗した.其の結果陽光を多く受け得べき預上の果樹に着生結實したものは,下麓のものに比し明かにC量多く又同果樹にあのても南向きの枝に着生した果實は,北向きのものに此し梨果,柿果同様C含量多大であつた.
(5) 温州蜜柑につき果實の部位によるC量の差異を明かにした.果皮に近き果肉は内部の果肉に比し量大であつた事も,口照とヴイタミンC量の關係の一例證となり得るのである.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top