日本農芸化学会誌
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葡萄品種別葡萄酒釀造試驗(第二報)
川上 善兵衞長谷川 武治
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1939 年 15 巻 12 号 p. 1149-1157

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抄録

(1) 新潟縣岩の原葡萄園産の葡萄品種中在來種55種に著者の得たる新品種10種に就き比較釀造を行ひたり.
(2) 各品種に就き果汁及び生成酒の化學的組成並に收量,〓酒の結果等を明示せり.即ち,
i No.30クリユーゲル, No. 46シンセアネ,No. 58ノルトンの3種が凡てA級に入りしは當然なれども收穫量の尠きは考慮を要す.
ii No. 15ビツグ・フオールは香と味に各1づゝのBある上,香に缺點ある點, No. 48ジヤツク及No. 72ニユーマンは共に香に1づゝのBあるのみにして,他は凡てAなるも狐臭有る點,又No. 7ベーリの香に1のCと2のBある點,此5種の葡萄は本來臭氣無くして殆どヴヰニフエラ又はリンケクミー種の如きものなるに拘はらず,成酒に臭氣を帶ぶるは添加せる酵母液の狐臭が各受酵液に作用したるか,又他に原因あるに因るか更に之を檢討せんと欲す.
iii 而して反對にNo. 2アデイロンダツクの色にB1, No. 3未詳一號は香にC1, No. 68ハーマンの味にC1有るのみにして凡てA級に入りしは優良ならざる之等の品種としては異常の良成績を示したるものなり.
之を要約すれば本年の成績は前年に反するもの有り.尚一層の研究を要す.
(3) 本報告は昨年度葡萄品種別葡萄酒釀造試驗(本誌14, 1437, 1938)の續報たるものとす.
本實驗に當り御指導を得たる東大農學部坂口謹一郎博士,故鈴木彰農學士に厚き謝意を表す.

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