日本農芸化学会誌
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各種水産動物の肉蛋白中のスレオニンの存在に就て
波多腰 ヤス
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1941 年 17 巻 2 号 p. 64-66

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抄録

(1)烏賊,鰯,章魚,海鼠の肉蛋白を調製し,各々其の150gを加水分解してスレオニンを分離した.其の量は,窒素として加水分解可溶蛋白液中の全窒素に對し烏賊0.92%,鰯2.0%,章魚0.78%,海鼠0.96%であった.
(2)分離したスレオニンを再結精製して六邊形板状結晶を得た.其の窒素含量は11.75%であり,融點測定の結果210°にて着色し257°にて分解したから之を純粋なるものと認めた.
(2) 4種の水産動物の肉蛋白は,何れも成長に必須なるアミノ酸スレオニンを含有するから,榮養上意義あることを明らかにした.
終りに臨み,本研究を行ふに當り終始御懇篤なる御指導を賜りたる恩師京都帝國大學教授近藤金助先生に對し謹みて感謝の意を捧げ,併せて同研究室の森茂樹氏より助力を得たることを深謝する.
本研究は文部省科學研究費によつて遂行したのである.誌して以て深甚なる謝意を表する.

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