日本農芸化学会誌
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除虫菊の有効成分定量に關する研究(第12報)
ベンゾール抽出に依る新容量法
若園 潔平岡 敬造武居 三吉
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1942 年 18 巻 8 号 p. 766-775

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抄録
本研究は除蟲菊有効成分の定量法が從來專ら石油エーテル抽出に依存してゐたのを是正し,ベンゾール抽出を以つて之に置き換へると共に,容量法(4)各階梯に再檢討を加へたものである.
1. 新定量法は第1表の如く,從來の容量法に基礎を置いたものであるがベンゾール抽出物の性質上抽出法,夾雜物除去等に新しい操作を採用した.
2. ベンゾールの除蟲菊に對する抽出力は極めて勝れて居り,室温(17~24°)に於ても10時間で全抽出量は極大値に達し,除蟲菊中のPyrethrinも勿論完全に抽出される事を知つた.
3. ベンゾール可溶物中の遊離酸の除去はべンゾール法の定量値を正確ならしめる上に極めて重要な事であるが稀薄アルカリ溶液で簡單に除去する事が出來た.
4. 抽出温度もPyrethrin以外の物質の溶出を出來るだけ少くする爲に成る可く温度を加へぬ方が良い.
5. 從來の容量法に於ては第一菊酸の振盪抽出は石油エーテルで行つてゐたが,之をベンゾールに置換しても満足すべき結果を得た.
6. 第二菊酸の抽出に於ても從來クロロホルムで夾雜物を除去してゐたが,本定量法では豫めアルカリ處理を行つてゐるから之を省略しても差支へ無く,又エーテルで振盪抽出を行ふ場合にも新しい簡略化を見出した.
7. 新定量法(ベンゾール法)と容量法(4)で各種乾花のPyrethrin定量を行つて見たが何れも大體良く一致した.又本法は石油劑中のPyrethrin定量にも利用出來る事は勿論である.
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© 公益社団法人 日本農芸化学会
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