日本農芸化学会誌
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イヌリン質資源の利用に關する研究(第2報)
チコリー根より果糖甘味料の調製に就て
逸見 文雄冨田 寛武
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1944 年 20 巻 4 号 p. 221-226

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抄録

(1) チコリー根より果糖甘味料を調製するに當り,實驗室内の小規模なるイヌリン抽出の最適條件を研究した結果,氣乾試料に8倍量の水を加へ100°で2時間加熱し直ちに搾つて抽出液を得ればよい.
(2) 前報告に述べたイヌリン分解菌(F-601號菌)を用ひてチコリー根抽出液中のイヌリンを殆ど完全に糖化する事を得て果糖液を調製した.
(3) 前記の果糖液の骨炭による脱苦味及び脱色の諸條件を研究した結果,骨炭の經濟的用量は脱苦味の程度に止め,糖化液に對し約0.7%の骨炭を用ひ60°で30分間の處理によつて,完全に脱苦味の目的を遂げ,更にある程度の脱色も兼ぬる事を認め,糖液の濾過を容易にする爲め,骨炭と共に珪藻土の併用は一層精製上の効果を増進した.
終りに臨み,本研究に當り御援助を賜つた友枝幹夫氏に深謝の意を表する.

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