日本農芸化学会誌
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種實グロブリンの變質に就て
森 茂樹
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1944 年 20 巻 5 号 p. 265-268

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抄録

1. 大豆,落花生,豌豆,小豆,大麻,棉實,小麥及び玉蜀黍等の種實に就き,所含蛋白が貯藏中變質の結果, (1) 水及び中性鹽類の溶液に可溶性の蛋白が難溶性に變化するが,變質した夫等蛋白は稀薄アルカリ溶液性であるから所謂グルテリン態蛋白は變質の進行に伴ひ増加すること, (2) 蛋白が變質する場合には其の一部分は崩壤し,同時に酸性の分解産物を生成遊離するために抽出液の水素イオン濃度は酸性側に移動すること及び(3) 蛋白のSH基が變質の程度に應じ減少する事實を指摘した.
2. 以上の事實は常に相關的に生起することを指摘し,其の原因に就て考察した.
終りに臨み本研究を行ふに當り終始御懇篤なる御指導を忝うせし京都帝國大學教授近藤金助先生に謹んで感謝の意を捧げ,併せて研究材料の入手に當り特別の配慮に預つた京大助教授木村光雄氏に深く謝意を表する次第である.尚本研究は文部省科學研究費の補助に依つて遂行し得たのである記して以て深甚の感謝の意を表する.

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