日本農芸化学会誌
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醗酵による繊維の精練に就て
(第10報)黒黴ペクチン分解酵素の適応的生成(その2)
朝井 勇宜齋藤 日向山岡 朝海
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1952 年 26 巻 8 号 p. 389-393

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抄録
前報に引続きC-源の使用法につき検討した.経済的見地と,蓚酸生成(DE作用の助長)を促す意味とから,澱粉又は葡萄糖を主C-源とし,一部を適応基質pectinを以て代置する意図に基く.
1) DP, DE, amylaseの生成は,主C-源としてGよりもSを配合した場合に大きい.PM, PGは大差ない. Sの代謝の方が遅れるために,菌の生育定常期が遷延し酵素の構成的生成が増加するものと考えられる(PM, PGは適応的に生成されるがDP, DEの生成には構成酵素的傾向があるものとして解釈される).
2) 主C-源S消尽期に適応基質Pを添加すると,最初からの配合の場合に比して, pectin分解酵素の生成が更に全般的に増加する.人為的に適応基質の代謝時期を調節したために,酵素の適応的生成までもが有利に行われたものと考えられる.
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