日本農芸化学会誌
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糸状菌糖類脱水素酵素に関する研究
(第1報)微アルカリ性溶液に於けるMethylene blueによる糖類の酸化
倉沢 文夫伊賀上 郁夫
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1954 年 28 巻 12 号 p. 954-958

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抄録

糖類が燐酸又は重曹を含む微アルカリ性溶液(pH 7.8)中に於てanaerobicにmethylene blueによつて酸化される際の生成物を検索するために本実験を行つた.糖類としてはglucose, fructose, mannose, galactose,xylose, arabinose, galacturonic acid,及びgluconic acidを用いた.生成物の検索のため,使用した糖類の還元力の変化,比旋光度の変化, polarograghyによる還元波の変化及び反応生成物をpaper chromatogramによつて糖類を検索した.
1) 還元力の変化についてはfructoseの減少度が最も大であり,初量の23%近くが変化し, glucose, xylose, galacturonic acidはこれに次ぎ減少度はほぼ同一であり約15%前後の変化をなす. Gluconic acidは変化は見られなかつた.
2) Polarographyにて還元波を良く示すfructoseについて還元波の変化をみたのに還元力の減少とほぼ同様な結果を得た.
3) 各種糖類について反応24時間後に旋光度の変化を見たのにfructoseのみは(+)側に,他の糖類は(-)側に変化し,各種糖類はそれぞれ変化をうけていることが認められた.
4) 反応24時間後の生成物については特に糖の呈色指示薬を用いてpaper chromatographyを行つた. Glucose, mannoseからはfructoseに一部変化しており, glucose, galactose, arabinoseからは同一のRFを有する還元性の1種のaldose様物質の生成が認められた.

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