1954 年 28 巻 12 号 p. 976-979
(1) 藤田・沼田法に於けるascorbic acid oxidaseのglutathionsに対する挙動を検討した.
(2) 藤田・沼田法に於てascorbic acid oxidaseを作用せしめる規定条件を検するに各条件はglutathioneに対して多少なりとも破壊を招くもので,その綜合影響を検するに,酸素通気量を毎分5~10ccに限定するならば約2.2~4.1%の破壊を生ずる結果となる事を知つた.従つてglutathioneの破壊を最小限にする為には酵素を作用せしめる各操作に細心の注意を必要とする.
(3) Glutathione及びascorbic acid共存溶液に対するascorbic acid oxidaseの影響をみるにglutathioneはascorbic acidと共存する事によつてglutathione単独にてoxidaseに接する場合よりは更にその破壊率を高める結果となつた.此の成績は藤田・沼田及びHOPKINS and MORGANの成績と異りKERTESZの成績と一致するもので,藤田・沼田の見解と異る事は重要な事象である.
(4) 試料中のascorbic acidを充分酸化し得るascorbic acid oxidase量を用いて尚これを酸化し得ない現象即ちant_??_-oxidase actionを有する試料として柿葉及び桑葉を見出した.かかる試料の場合は思わざる誤謬を犯す結果となる事は当然であつて注意を要する.