日本農芸化学会誌
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Geodinに関する生化学的研究
(第7報)P. estinogenum K. and A. によるGeodinよりDihydrogeodinの生合成
小松 栄太郎
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1957 年 31 巻 12 号 p. 905-909

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抄録

(1)振湯培養によって充分にGeodinを産生させたP. estinogenumの培養を1夜静置すれば, Geodin力価は殆んど消失するが,これを再び1夜振盪すれば,最初の力価の約70%が回復する現象を認めた.
(2) 同菌の洗滌菌体を結晶Geodinの燐酸緩衝溶液と混じて真空状態とすれば,やはりGeodin力価は減少する.これを加熱した後再び菌体と瀘液に分け,菌体は磨砕した後各々に新に洗滌菌体より作った抽出液(DHG酸化能を有する)を加えそ振盪すれば, Geodin力価は増大し,その増分は先に失われたGeodin力価に匹敵し,しかもその大部分が菌体磨砕物に見出された.
(3) 洗滌菌体とGeodin溶液を混合して真空状態を与え, Geodin力価の大部分を消失させた後菌体を瀘別し,乾燥粉砕してクロロホルムとアセトンで抽出し,これより黄色針状結晶を分離しDHGとして確認した.
(4) 以上の事実より, DHG酸化能を有するP. estinogenumは空気の無い状態では逆にGeodinを還元してDHCとすることは明かであり,しかもこれは菌体に集積されるものと認められる.
(5) 上記Geodin還元能は菌体を破壊することにより容易に失われ,安定に細胞外に抽出されるDHG酸化系とは顕著に相違する性質を示す.
(5) Raistrick等の提出したGeodinの構造式及び彼等により構造を決定されたDHG trimethyletherより推定されるDHGの構造式を借りて,GeodinとDHGの相互変換こともなう構造上の変化につき考察した.

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