日本農芸化学会誌
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澱粉の異常結合に関する研究
(第4報) いわゆるZ-酸素についての考察
馬場 明小島 秀治郎
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1958 年 32 巻 4 号 p. 291-298

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抄録

各種の処理を施したアミロースのβ-アミラーゼによる分解率を測定するとともに,杏エムルシンの精製とβ-グルコシダーゼ,β-キシロシダーゼ,Z-酵素相互の関係を検討し次の知見を得た.
(1) アミロースを第1表の如く処理してもβ-アミラーゼによる分解率に大きな変化を来さない.
(2) アミロースを乾燥状態で長期間放置するとヨードによる呈色度を著しく減少する.然しながらβ-アミラーゼによる分解率は変らない.
(3) アミロースを0.4N-NaOHで98°, 1時間加熱するとき,残るアミロースはβ-アミラーゼによって殆んど100%分解される.
(4) Z-酵素がβ-グルコシダーゼでないことを確認するとともにβ-キシロシダーゼでもないことを認めた.
(5) 杏エムルシン中のα-アミラーゼのアミロース分解曲線が麦芽及び細菌のα-アミラーゼのそれと異ることを認めた.
(6) アミロースがβ-アミラーゼで100%分解されない原因がアミロースの高分子的な性質によることの可能性ならびにZ-酵素が微量のα-アミラーゼである可能性について考察した.

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