1959 年 33 巻 13 号 p. 1139-1144
(1) α-カゼイン及びパラα-カゼイン間でSH基滴定値, diazo反応, phenol反応及びbiuret反応の呈色度に差を見出すことはできない.又pH 6.4及び9.4におけるパラα-カゼインの紫外部の吸収は測定した全波長においてα-カゼインの吸収よりやや大であるが,これも単に混濁度の相違によると思われる. pH 11.7では両者の紫外部吸収曲線は完全に一致する.
(2) pH 11.7におけるα-カゼイン及びパラα-カゼインの超遠心沈降図の間に差は認められない.両者は共に沈降定数の略等しいmonomerに解離する.しかしこれをpH 7に戻してpolymerとすると,パラα-カゼインの方がより不均一な沈降図を示す.
(3)前立腺ホスファターゼによるα-カゼイン及びパラα-カゼインの脱燐酸量に差は認められない.