日本農芸化学会誌
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大麦のアミロ法熟成醪中の非醗酵性糖について(第1報)
2, 3のオリゴ糖の存在と分離
小野 英男太宰 宙朗
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1959 年 33 巻 8 号 p. 639-643

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抄録

大麦のアミロ法熟成醪中にはペントース以外の残糖が特異的に多いのでこれ等の糖類について検討した.
(1) PPCにより組成糖の検索を行いキシロース,アラビノースおよびペントースの重合体以外にa, bおよびc糖と仮称する糖類を認めた.
(2) a, bおよびc糖は何れも酸およびタカジヤスターゼにより分解されるが,α-およびβ-アミラーゼには作用されない.又aおよびb糖はエムルシンにより分解されるのでβ-結合の糖類と思われた.
(3)精白大麦の全糖を100とすればペントースは6.3%, a, bおよびc糖の合計は8.2%に達し, PPCによる組成糖の分離定量を行ってa, bおよびc糖の比率はほぼ18:48:34と推定された.
(4) Carbon CCにより組成糖の分離を試み, a, bおよびc糖を単離することができた.この際微量ながらガラクトース,イソマルトース,コージビオースと思われる糖類を認めた.
(5) a, bおよびc糖について酸および2, 3の酵素作用を検討した結果何れもβ-結合のオリゴ糖でa糖はラミナリビオースと推定され, b糖は1, 3-βおよび1, 4-β結合よりなる三糖類, c糖は両結合を或る割合に併せ持つ四糖類と考えられた.そしてこれ等の糖類はアミロ菌或いは酵母による転移生成糖ではなく,原料に由来するものと思われた.

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