日本農芸化学会誌
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鶏卵中の硫酸態硫黄(第5報)
孵化鶏卵卵黄,卵白蛋白質における硫酸態硫黄の分布
野並 慶宣
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1959 年 33 巻 8 号 p. 700-703

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抄録

卵黄,卵白の孵化過程における分解過程をそれらの硫酸基の変化より検討するために,孵卵120, 210, 330及び400時間において外見上新鮮卵同様の性状を示す卵黄及び卵白の等白質をそれぞれビテリン,リベチン及びオボムコイド,その他に分別し,これら蛋白質及び非蛋白部の硫酸態硫黄を定量した.その結果次のことを明らかとした.
(1)卵黄リベチンは孵化過程において熱凝固性に変化を生じ,卵白粗オボムコイドはエタノールによる沈澱性が新鮮卵白の場合とことなる.
(2)卵黄,卵白中の遊離または弱い結合状態の硫酸基は,孵卵330時間までの間に消費される.
(3)孵卵330時間において卵黄中の透析性及び非蛋白態硫酸基は著しく増加するが,これは卵白よりの移行にもとづくものではなく,あらたに卵黄中に硫酸基が生成された結果である.
(4)孵卵330~400時間の間における胚への硫酸基供給の源は卵黄である.
(5)卵黄は孵卵120時間ですでに全体的に変化するが,卵白はその一部が330時間までほとんど変化しないで存在する.

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