日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
L-バリン醗酵に関する研究(第2報)
培養諸条件の検討
杉崎 善治郎
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 34 巻 2 号 p. 158-165

詳細
抄録

(1) L-バリンの醗酵生産に及ぼす各種要困をAerobacter aerogenes NISR-B-801を用いて検討し,その生産諸条件が決定された.
(2) 重要な因子として:(a) 至適C/N率と通気条件は本醗酵を惹起するのに最も重要な因子で, glucose 10%のときNH4Clでは1.2%(=0.31%N), Kd=6.0×10-6 g-mol of O2/atm. min. cc of H2Oが至適である.(b) 無機塩類としてKH2PO4, K2HPO4の各0.075~0.15%及びMgSO4・7H2O O.03~0.04%は必須で,更に微量のミネラルとしてNi++,Mn++, Mo+6等の添加(硫酸塩として各1Op.p.m.)は著効がある. KClも0.3~0.4%の添加はよい.(C) 菌の生育を管理することも重要で,上記Kdの下で4~5%(v/v)の接種を可とし, pH5.4~6.2,温度30°に保つことである.
(3) 醗酵実施の一例ではL-バリンの収量1.26g/dlで,一般に糖のバリンへの転換率は約20%相当量を示した.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top