日本農芸化学会誌
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人乳蛋白質に関する研究(第1報)
人乳および牛乳カゼインの溶解性混濁度について
清沢 功両木 岱造前野 正久
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1961 年 35 巻 1 号 p. 75-79

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抄録

人乳カゼインの調製法,溶解度,混濁度の温度および時間的変化について観察し,牛乳カゼインとの差異について検討した.
(1) Mcllvaineの緩衝液による人乳力ゼインの溶解度は,カゼインの等電点よりアルカリ側ではpH8.0を除いて牛乳カゼインより低く,酸側では高い溶解度を示した.
(2) 人乳力ゼインの一定時間後における混濁度は,20°まではいずれの塩化カルシウム濃度(0.9~5.5mM)でも余り変化はないが,20°以上では急激に増加し,その増加する傾向は塩化カルシウム濃度が高い程著しい.
(3) 塩化カルシウム濃度5.5mMの混濁度は, 35°までは6時間を経過しても余り変化しないが, 35°では時間の経過にともなって増加する.
(4) 人乳と牛乳カゼインの混濁度は,いずれの塩化カルシウム濃度でも後者が高く,40°より2°に冷却した際の混濁度は人乳,牛乳カゼイン共に低下する.

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