抄録
(1) アミノ酸のイオン交換樹脂に対する平衡について検討を行った.
(2) 平衡を選択係数Kの概念で比較統一した.
(3) 強酸性,強塩基性樹脂の動的平衡において,それぞれ塩酸,苛性ソーダの量的変化に伴うKの変化によっておおよそ4つの群に分けることができる.
(4) 強酸性,強塩基性樹脂においてはそれぞれ有機酸,アンモニアのKに及ぼす影響は少い.
(5) 弱酸性,弱塩基性樹脂においてはそれぞれ酸性アミノ酸,塩基性アミノ酸のKに及ぼす影響は非常に大きい.
(6) 動的平衡と静的平衡におけるKを比較した結果,各アミノ酸ともに動的平衡の方が大きい.
(7) 塩酸が存在した場合にアミノ酸のイオン交換樹脂に対する吸着量は次の近似式を或る範囲において適用できる.
E=E0-nlogc ただしE……アミノ酸吸着量
E0……アミノ酸飽和吸着量
n……恒数
c……アミノ酸に対する塩酸のモル比に1を加算したもの.