1965 年 39 巻 11 号 p. 415-419
(1)清酒を30°で400日間貯蔵し, 0°で保存した対照と比較したところ,一種の褐変をともなういちじるしい香味変化が認められた.
(2)この場合,清酒主成分にはほとんど変化がなかったが,数種のカルボニル化合物の生成増加が認められた.
(3)貯蔵酒中に生成した過熟臭の本体は,一種の揮発性カルボニル化合物であると認められた.
(4)褐変反応の中間体として考えられている3-de-oxyglucosoneが顕著に生成することが確認された.
(5)上記の結果から“清酒が熟す”という現象が,清酒自身の褐変と密接な関係にあると推定された.