日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
Streptococcus faecalisにおけるピルビン酸酸化とそれに関連する代謝に関する研究(第2報)
ピルビン酸酸化の生理的意義
上原 悌次郎山岡 邦雄福井 三郎
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 42 巻 4 号 p. 222-227

詳細
抄録

PropAを含むリポ酸定量用培地におけるS. faecalis10C1の増殖に及ぼす各種脂肪酸および大豆レシチンの効果を調べたところ,酔酸のほかにパルミチン酸,オレイン酸およびベヘン酸ならびに大豆レシチンがリポ酸代替作用を示した.また,一定量のリポ酸による増殖がビオチンおよび重炭酸の添加により著明に増大した.2-14C-酢酸で増殖せしめた場合,酢酸に基づくCO2の発生はほとんど認められず,菌体にとりこまれた放射能の大部分は脂質画分に存在した.静止菌体による2-14C-PyrAの酸化的脱炭酸を調べたところ,CO2発生量に比し14C02の発生はきわめて微量で,放射能のほとんどすべては反応液中に残存していた.以上の事実より,本実験条件下での S. faecalis 10C1のPyrA酸化の生理的意義は脂質合成につながるものであると推定した.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top