1968 年 42 巻 4 号 p. 238-241
(1) チロシンのO-トシルエステルをラネーニッケルを触媒として接触還元することによってチロシンのフェノール性水酸基が還元開裂し,フェニルアラニンとなることを確認した.
(2) この反応においてアミノ酸の立体配置に変化はなく,L-チロシンよりL-フェニルアラニンが得られる.
(3) 同様にジトシルチロシンの接触還元によって,N-トシルフェニルアラニンが生成する.
(4)チロシンのO-トシル化法を改良し,銅塩法によって収率よく純度の高いO-トシルチロシンを得ることができた.
(5) O-トシルチロシンの還元反応液から強酸性陽イオン交換樹脂を用いてアンモニア水による溶出,分別結晶によって,収率よくフェニルアラニンを結晶として単離できる.