1969 年 43 巻 11 号 p. 758-763
(1)ペニシリンの添加条件下にもかかわらず,酢酸からのL-GA生成は,酢酸の供与方法すなわち残酢酸濃度水準の違いにより変動し,酢酸を抵水準に保ったときのみ著量のL-GAが蓄積した.
(2) 残酢酸濃度水準の相違により,アミノ酸,有機酸の生成に意味のある差は認められなかったが,菌体構成脂肪酸は若干,含量を異にした.
(3) 生育に供した残酢酸濃度水準の相違により,isocitratelyase活性に変化が認められたが,glutamate dehydrogenase, isocitrate dehyrogenase活性に差は認められなかった.
(4) 残酢酸水準が阻害濃度近くまで達すると,コハク酸,フマール酸,リンゴ酸の酸化能が顕著に増加した.
(5) 以上の諸現象から,残酢酸水準の相違に基づく酢酸代謝経路の転換について考察した.