日本農芸化学会誌
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植物種子発芽体nucleaseによる2'-mononucleotideの生成について(その1)
片谷 健一西本 健市秋本 政明川田 寛
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1969 年 43 巻 6 号 p. 345-353

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抄録

イナキビ,マイロおよび大豆発芽体より抽出した酵素液について,含有nucleaseの一般的性質,RNA分解生成物および分解経路などの検討を行なった.
(1) 各抽出酵素液は,RNA, DNPPおよびPNPP基質に対し,pH 4.5~5.0に至適pHを有し,PNPP基質に対してはさらにpH 7.5にもわずかに至適pHがみられる.しかし,DNA, 5'-NpTおよび5'-ADPに対しては活性を示さない.
(2) 至適温度は,RNA基質に対して60°にあり,pH 5.6, 60°C,30分間の熱処理で約20%が失活し,pH 4.0~7.0で安定である.また,金属イオンにより阻害され,一部のキレート剤により賦活される.
(3) RNA分解生成物は,イオン交換カラムクロマトグラフィーにおける溶出位置,各画分のCarbazole反応,過ヨード酸シッフ反応,ペーパークロマトグラフィーのRf値および標品2',(3')-mononucleotideを添加して行なったイオン交換カラムクロマトグラフィーにおける回収率などの結果から,それぞれ2'-CMP,2-'-AMP, 2'-UMPおよび2'-GMPであり,その他の異性体は認められない.
(4) 各2'-mononucleotideの生成経路は,RNAより各2',3'-cyclic mononuleotideを経て,2'-mono-nucleotideが生成される.また,2'3'-cyclic mono-nucleotideにも作用して2'-mononucleotideが生成される.

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