抄録
(1) 各地の土壌試料322個よりスクリーニングを行ない, DL-HydをC-MetおよびMetに分解する能力の強い優良1菌株を分離した.
(2) 分離菌の分類学的検討を行ない,Bacillus coagulansと同定した.
(3) Bacillus保存株の主なもの12株によるMetの生成を検討したが,8株はMetを全然生成せず,残り4株も痕跡程度の生成を示すのみであった.
(4) 分離菌HY-1を用いて培養を行ない,培養液からのC-MetおよびMetの単離を検討した.
(5) 単離C-MetよびMetの比旋光度,元素分析値,赤外吸収スペクトル,ペーパーク官マトグラフィー,Rf値を測定,標準品と比較しそれぞれC-D-MetおよびL-Metと同定した.
(6) DL-xyaからのL-Met生成に関する基礎的条件につき検討し,炭素源,窒素源,有機栄養源にそれぞれデン粉1.0%,尿素0.25%,CSL 0.8%を用い,無機塩としKH2PO4, 0.5%, MgSO4・7aq・0.01%,Fe,Mn硫酸塩それぞれ0.001%を含む中性培地で30°Cでかなり好気的に振盪培養する至適条件を得た.
(7) この条件下で,DL-Hydから対基質56.7モル%におよぶL-Metと同時に,17.6モル%のC-D-Metが生成された.