日本農芸化学会誌
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ヘミセルラーゼに関する研究(第1報)
Aspergillus nigerのヘミセルラーゼの精製とその性質
福本 寿一郎辻阪 好夫竹西 繁行
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1970 年 44 巻 10 号 p. 447-456

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抄録

(1) Asp. niger van Tieghemの麩麹培養抽出液のヘミセルラーゼをSE-Sephadex, DEAE-SephadexおよびSephadex G-100またはG-75のカラムクロマトグラフィーにより精製した結果, 4種のヘミセルラーゼ区分(H-I, H-II, H-III, H-IV)とキシロビオースに作用する1区分(キシロシダーゼ)とを得た.
(2) これらのうち, H-I, H-IIおよびH-IIIは超遠心分析ならびに電気泳動分析の結果,単一物質にまで精製されたことが明らかになった.これら3種の酵素はいずれも“いなわら”および大豆種皮のアラビノキシランに作用するが,大豆種皮のガラクトマンナンに作用しないことからキシラナーゼに属するものとみなされる.また3者は相互に蛋白化学的性質および基質に対する作用機作を異にするものと推定される.
(3) H-IVは単一物質とみとめられる段階にまで精製されなかったが,この標品についてはアラビノキシランよりむしろガラクトマンナンにより親和性の高い酵素であると推定された.
(4) キシロシダーゼは高分子基質には作用せず,キシロビオースのようなオリゴ糖に親和性を有する酵素であることが明らかになった.

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