1970 年 44 巻 5 号 p. 195-201
(1) Corynebacterium sp. No. 208はthiamine制限培地においてグルコン酸よりケト酸を蓄積したが,これはピルビン酸と同定された.
(2) グルコン酸よりピルビン酸の蓄積には生育にsub-optimumなthiamine濃度が至適であり,高濃度のthiamineでは生育が旺盛になるとともにピルビン酸の蓄積量は激減した.
(3) グルコン酸濃度に比例してピルビン酸の蓄積量の増大がみられ, 10%の場合には最高33mg/mlの蓄積量が認められた.
(4) 鉄イオンの添加はピルビン酸の最高蓄積量にはそれほど大きな影響を与えないが,蓄積されたピルビン酸の分解が促進され,αケトグルタル酸の増加がみられた.
(5) 高濃度の窒素源はピルビン酸の蓄積には影響しないが,培養長時間においてピルビン酸の減少がみられ,同時にアラニンの生成が認められた.