日本農芸化学会誌
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ヒマ発芽種子胚乳のフォスフォエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの部分精製と性質について
竹内 章夫藤井 ミチ子本田 幸一郎
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1973 年 47 巻 12 号 p. 779-785

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抄録

貯蔵物質の異なる発芽種子について, PEP〓OAA反応を触媒する酵素を検索し,ヒマではPEPCK,大豆,エンドウではPEPCが存在することを認め,このうちPEPCKについて精製およびその性質を調べた.
ヒマPEPCKは暗所, 30°Cで発芽3日目から活性が認められ,以後急激に増加し7日目にピークを示したので, 7日目の胚乳から酵素を部分精製し,その諸性質を検討した.本酵素はアデニンヌクレオチドに特異的で,活性にMnイオンを必要とする.最適pHはOAA生成反応で6.4, PEP生成反応で8.4であった.また,酵素は解離会合を起こしやすいと推定され, PEP生成反応では, OAA, ATPの飽和曲線がS字型になり,さらに酵素濃度により活性の現われ方も異なる.以上のことから, PEP生成反応に影響する主因子は酵素濃度と基質濃度であると考えられる.
本研究を遂行するに当り,ヒマ種子をご寄贈いただきました伊藤製油株式会社に厚く感謝いたします.

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