1974 年 48 巻 6 号 p. 337-341
清酒醸造における原料白米の洗米から蒸きょうに至る,いわゆる原料処理工程中の脂質の動きについて検討した.
脂質は洗米によって,SSに約1.1%含まれて流去されるが,これは白米中の粗脂肪の5.5%,結合脂質の0.4%に相当し,洗米用水によっても変動するが,ここでは無視できる量と考えた.
一方,蒸きょうすることにより,白米中の粗脂肪は45~75%に減少し,脂肪酸組成では,不飽和脂肪酸の比率が減少する.粗脂肪の減少は,加水分解により遊離した脂肪酸が一部揮発することによると推察される.