日本農芸化学会誌
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カラムライトを担体とするカラムクロマトグラフィーによる塩基性抗生物質の吸着分別
奥村 文男野尻 哲朗鶴 大典
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1974 年 48 巻 7 号 p. 397-402

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抄録
カラムライト(ケイ酸アルミン酸マグネシウム)によるカラムクロマトグラフィーによって塩基性抗生物質の相互分離を試み,次の結果を得た.
(1) 塩基性寡糖グループ抗生物質(streptomycin, paromomycin, neomycin, ribostamycinおよびkanamycin)ならびに塩基性ペプチド系抗生物質(viomycin, capreomycin),およびストレプトスライシン群抗生物質に属するracemomycin complexはカラムライトに吸着され,塩溶液あるいは希アンモニア水にまって溶出される.マクロライド系抗生物質はほとんど吸着されない(oleandomycin)か,あるいはわずかに吸着される(leucomycin)が,他の塩基性抗生物質存在下では素通り区分に認められる.
(2) 吸着された各抗生物質は,塩溶液あるいは希アンモニア水を流下させることによって溶出され,その溶出に必要な塩溶液の濃度は抗生物質の種類により,また用いる塩溶液の種類によって異なる.従って,これらの条件を適当に組合わせることにより,吸着されている2~3種類の抗生物質を分別溶出することが可能である.
(3) カラムライトの塩基性抗生物質に対する吸着能は,蛋白質や有機性着色物質が共存する場合にも,ほぼ同様に認められ,従ってカラムライトは放線菌の培養濾液より塩基性抗生物質を分離精製するのに有効であり,また血中や尿中の抗生物質を分別検出同定するのに利用され得ると考えられる.
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