1977 年 51 巻 4 号 p. 189-194
ニォイシュロランの花の水蒸気揮発性油の成分を明らかにするために,大阪府泉南市の人家に咲いている花を採集し,水蒸気蒸留を行ない,その水蒸気揮発性油を各部に分別したのち,カラムクロマトグラフィー,GLC分取などにより単離し,GLCおよびIR, MS, NMRスペクトルなどを用いて各成分の検索を行なった.その結果をTable IVに示した.
この花の水蒸気揮発性油の主成分は,3-メトキシ-4-オキシトルエンであり,グアヤコール,チャビコール,ベンジルアルコール,β-フェニルエチルアルコールのような芳香族化合物が約60%を占めていた.
開花期における強い芳香は上記の芳香族化合物の香気に似ており,これに加えて脂肪族アルコール,およびテルペンアルコールなどが,ニオイシュロランの花の香気の1因を成しているものと考えられる.