1978 年 52 巻 11 号 p. 533-538
テンダイウヤク果実の精油成分を明らかにするために,三重県熊野市有馬町と大阪府枚方市長尾で採集した果実,また,果実を果肉部と種子部とに分離して,おのおのを水蒸気蒸留して得た精油をカラムクロマト, GLC分取などにより単離を行って, GLCおよびIR, UV, MS, NMRスペクトルを用いて検索を行った.その結果は, Table I, IIに示した.果肉部の精油は,モノ,セスキテルペン炭化水素が主成分であるのに対して,種子部は,フランセスキテルペンが主成分であった.熊野産と枚方産の精油成分では,α-pinene, β-selinene, lindestrene, lindenenyl acetateなどの量的な差が認められた.枚方産について,果実の時期別(成熟状態にしたがって)に採集すると,成分組成はほとんど変動は見られなかったが,熟度が進むにしたがって収油率の減少傾向が見られた.