1978 年 52 巻 12 号 p. 553-559
土壌より分離した一細菌No.98菌の産生するSp. ruberrimus細胞壁溶解酵素を,その培養濾液から硫安塩析により調製した.この粗酵素の基質特異性を検討するとともに,スポロボロミセス属およびその近縁の各種酵母に作用させ,この酵素に対する細胞壁の溶解性と酵母の分類学上の関係とを検討し,次のような結果を得た.
1. SporobolomycetaceaeのSporobolomyces, Sporidiobolusはよく溶解されるが,赤色カロチノイド色素を有しないBullera, Tilletiopsisは溶解されなかった.
2. 子のう胞子酵母Saccharomycetaceaeに属する酵母はほとんど溶解されない.
3. 無胞子酵母のうちCandida, Cryptococcus, Torulopsisは溶解されないが,赤色酵母のRhodotorulaはSporobolomycesと同様よく溶解される.
4. 担子菌Ustilaginalesに属するRhodosporidium toruloidesはよく溶解されるが,赤色力ロチノイド色素を有しない白色のLeucosporidiumでは種により結果が異なった.