日本農芸化学会誌
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分離酵母蛋白質の粘度および紡糸性におよぼす添加物の効果
川崎 聖司野村 男次
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1979 年 53 巻 5 号 p. 143-147

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抄録

パン酵母より調製した分離酵母蛋白質(SCP)の紡糸性を検討した.また,種々の比率で添加物を加えて粘度と繊維形成能におよぼす影響を調べるとともに,得られた繊誰の破断強度を測定した.
実験条件内ではSCPの1~3%をカルボキシメチルセルロース(CMC)やカラギナンで置き換えることにより, SCP溶液のみかけ粘度が上昇し,紡糸性および延伸姓が向上した.しかし,より高い比率で置き換えると粘度が増加しすぎてノズルが閉塞し,紡糸は不可能となった.同じ比率で加えた場合は, CMCの方が延伸率・破断強度とも増加率が高く,添加物としてはカラギナンよりも優れていると思われる.
一方,カゼインの添加でCMC添加と同様の効果を得るためには, 5%以上加える必要があった.また,添加率が高くなるほどSCPの延伸率,破断強度が増加した.

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