日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
発酵ソーセージ中のStaphylococcus aureusの生育阻止について
加藤 丈雄水越 大八志賀 一三佐藤 泰
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 60 巻 3 号 p. 199-205

詳細
抄録

乳酸菌の抗菌力を補うために,グルコースオキシダーゼを添加して,Staphylococcus aureusの生育阻害度,ソーセージエマルジョンの性質に対する影響について検討した.
(1) S. aureusの接種量が104cells/g以下であれば,乳酸菌スターターの107 cells/g接種により十分に生育阻害できた.しかし,105cells/g以上の場合には,乳酸菌を108cells/g接種しても不十分であった.
(2) グルコースオキシダーゼは4.4 unit/g以下であれば,乳酸菌の生育に影響せず,S. aureusに対しては99%以上の強い生育阻害効果を示した.
(3) 多量のグルコースオキシダーゼの添加は,ソーセージエマルジョンの色や保水性に影響した.とくに,色,a値は8.8 unit/gの添加で対照の58%以下に減少した.
(4) S. aureusの生育阻害とソーセージの性質への影響を考慮すると,ソーセージの発酵条件は,乳酸菌スタータ-,Lactobacillus plantarum-4(ST),Pediococ-cus cerevisiae-1:107cells/g接種,グルコースオキシダーゼ:2.2 unit/g 添加が適当である.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top