日本農芸化学会誌
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有機溶媒共存下におけるβ-キシロシダーゼ活性と糖転移作用
篠山 浩文安井 恒男
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1988 年 62 巻 9 号 p. 1339-1343

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抄録

有用物質の合成を目的として,水溶性有機溶媒共存下における各種糸状菌由来の酵素液中のβ-キシロシダーゼ活性および糖転移能の変化を検討し,次のような結果を得た.
(1) Aspergillus niger由来の酵素液中のβ-キシロシダーゼの加水分解活性は,アセトンや水溶性アルコール中の反応において比較的高い値を示し,安定性においても他の3菌株(Penicillium wortmanni, Trichoderma viride, Emericella nidulans)由来のβ-キシロシダーゼよりも優れていた.
(2) 本酵素液中のβ-キシロシダーゼの加水分解活性は, 30°Cにおいては,アセトン50%存在下においてもアセトン無添加時の約50%の活性を保持していた.また,水溶性アルコール50%存在下では通常の約80~150%の活性を示した.
(3) キシロビオースを基質として水溶性有機溶媒共存下で本酵素液を作用させたところ,アセトン存在下では無添加時よりも反応がキシロトリオース合成に傾きながら進行していたが, 2-プロパノールのようなアルコールの存在下ではキシロトリオースの生成はほとんど見られず,転移生成物としてアルキルβ-キシロシドの生成が示唆された.

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