日本農芸化学会誌
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高温短時間処理がブロッコリーの貯蔵性に及ぼす影響について
風見 大司佐藤 隆英中川 弘毅小倉 長雄
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1991 年 65 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

1) ブロッコリーを45°C14分間温水浸漬処理した後20°Cに貯蔵すると,無処理のものより花らいの黄化が明らかに2~3日遅れ,貯蔵性が向上し,品質を保った.この現象は温水浸漬処理したブロッコリーを4°Cに5日間貯蔵後に20°Cに移し変えて貯蔵した場合にも同じように花らいの黄化が遅れることが認められた.
2) 温水浸漬処理により貯蔵中の初期に呼吸量の低下がみられた.
3) 収穫後のブロッコリーにみられるエチレン発生が温水浸漬処理により2日間抑制された.
4) クロロフィル含量は20°C貯蔵中に無処理のものでは急激な減少がみられたが,温水浸漬処理したものは5日後も86.4%と高い値を保った.
5) 還元型アスコルビン酸含量は20°C貯蔵中に減少するが,温水浸漬処理によりその減少が抑制された.
6) 可溶性タンパク質含量は無処理のものでは20°C貯蔵中に急激な減少がみられたが,温水浸漬処理したものは5日後も高い値を保った.
7) クロロフィラーゼ,ペルオキシダーゼ,リポオキシゲナーゼは高温処理によりその活性に影響を受けたが,クロロフィルの分解とそれぞれの活性に相関関係を見出すことはできなかった.

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