日本農芸化学会誌
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ネギとニラの種間雑種として作出された,ニラ新品種「なかみどり」の香気組成
小林 彰夫天谷 正行久保田 紀久枝森澤 千尋
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1997 年 71 巻 12 号 p. 1273-1277

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抄録

(1)ニラとネギの種間雑種である「なかみどり」の香気特性を,成分組成から解明するため,親植物と合わせ三種の香気成分分析を行った.
(2)ニラより香気濃縮物の調製方法を検討しチルド試料から減圧水蒸気蒸留による方法を最適と判断した.
(3)香気濃縮物をGC, GC-MSデータより比較検討した結果,「なかみどり」の香気組成は,親ニラのそれと類似し,香気前駆物質としてニンニクと同様アリシンの存在が示唆された.「なかみどり」は親ニラに比して精油量も多く,アリル基を有する化合物は親植物の2倍以上となり,これがニンニク臭の強いニラ新種の原因と考えられる.一方ネギには催涙性の原因物質であるthiopropanal S-oxideが検出されたが「なかみどり」にこの形質は受け継がれていない.

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