日本農芸化学会誌
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麥酒酵母の増殖に就いて(第一報)
下平 赳夫
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1932 年 8 巻 8 号 p. 876-880

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抄録

各種條件に封し酵母増殖の可否を比較研究するに際し,一方法として酵母収量の多少により決定すれども,添加酵母數僅少なる場合に於ては實験上の誤差が其収量に及ぼす影響の極めて大にして,既酵母増殖率は添加酵母數僅少なる程急激に高位を示し,又増加するに從ひ緩漫なる率を示すものなる事を見たり.故に少量添加の場合は極めて正確に同一量接種するか,或は添加酵母敷の差が殆んど其収量に影響を及ぼさざる量を添加するに非ざれば正確なる結果を期し難し.
余は添加數の差の増殖率に影響なき量既1/1000c.mmに對し90ヶ以上を接種しHayduck氏液の糖濃度2, 4, 6, 8,10%の各液に就き又麥芽汁8, 12, 16, 20%各濃度液に就き最適濃度を検したるに,前者に於ては6~7%,後者に於ては15~16%なりしを見たり.
本研究の遂行を命じ,終始御指導を賜はりし當工場長松山茂助氏に深く感謝の意を表す.

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