抄録
本論文はアメリカの青果物流通を対象とし,産地から卸売を経て小売に至る各段階の産業動向と流通実態を調査報告や統計データから検討するとともに,関連した農業経済学分野の学術論文をレビューした.過去30年間,アメリカの青果産業の市場規模は,消費者段階で3倍以上,農場段階でも約2倍に拡大した.しかし他方,小売業における企業集中と小規模小業者の衰退等の問題に直面している.今後,日本の農業経済研究に求められる研究課題としては,「小売業の集中度上昇が消費者に及ぼす影響」,「小売業の企業集中と垂直的調整の進行が農業・卸売業へ及ぼす影響」,および「小売企業との取引関係の変化に応じた農業経営や協同組合の組織構造と機能の変化」である.