農業経済研究
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韓国の経済成長と農業発展
稲作生産性を中心として
近藤 功庸
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2015 年 87 巻 1 号 p. 23-37

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抄録

本稿の課題は,韓国の経済成長と農業発展の過程を検討し,農工間の所得格差および韓国の稲作生産性に影響を与える要因を整理するとともに,日韓両国の共通性と異質性を明らかにすることである.その結果,以下の点が明らかとなった.共通性では,①米の品種改良に関し,両国とも米の過剰局面では増収型から品質向上型に転換した.②両国とも稲作経営の規模拡大は大幅に進展せず,両国とも1990年代以降,稲作生産性は停滞していた.異質性では,①農工間の所得格差に関し,日本では所得格差が縮小したが,韓国では所得格差が縮小しなかった.②農地制度面は,韓国が日本よりも農地所有の規制が緩く,借地権の保護も弱かった.

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© 2015 日本農業経済学会
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