農業経済研究
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研究動向
農産物貿易政策の政治経済学
先行研究のレビューと今後の研究課題
作山 巧
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2015 年 87 巻 3 号 p. 199-211

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抄録

自由貿易と補助金による所得移転の組み合わせを正当化する伝統的な貿易理論と,関税による保護が遍く存在するという現実には大きな乖離があり,その典型例が日本の農産物貿易政策である.本稿は,そうした乖離を扱う貿易政策の政治経済学に関する内外の先行研究をレビューし,今後の研究課題を明らかにする.先行研究のレビューによれば,当該分野の研究は日本では乏しいのに対し,海外では経済学と政治学の両分野で豊富な蓄積がある.他方で,所得移転の手段として補助金より関税が選好される理由に関しては,理論と実証の両面で研究成果は乏しい.行動経済学や政治学との連携を通じて,こうしたパズルを解消することが優先的な課題である.

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© 2015 日本農業経済学会
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