近年,非農家出身の新規参入者数が増加しているが,依然として就農時の農地確保が課題となっている。特に,果樹を代表とする樹園地では,植樹してから収量が出るまで期間がかかるため,有益費問題が発生しやすいこと等から,就農時における課題となりうる。そこで本稿では,この問題点に関して,果樹に限定し新規参入者の受入れを行っている丸浜就農受入連絡会を対象とした現地調査をもとに,特に樹園地の仲介者や賃貸借契約における契約期間,賃借料の設定について分析を行った。その結果,農協や研修受入農家による地権者との交渉支援は少なく,新規参入者が自ら交渉しなければいけないこと,それに併せて新規参入者に対して条件が不利になっていることが明らかとなった。このように,果樹に作目を限定し,新規参入を支援している地域であっても,果樹特有の課題は解消されていない。