農村研究
Online ISSN : 2436-9047
Print ISSN : 0388-8533
論文
フェアトレードにおけるバリューチェーンの構造分析
—フェアトレード認証紅茶を中心に—
野口 敬夫安江 紘幸大室 健治間々田 理彦下口 ニナ河野 洋一原 温久
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2023 年 2023 巻 136 号 p. 1-17

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抄録

本稿では,紅茶に焦点をあて,フェアトレードにおけるバリューチェーンの構造分析を行った。特に,グローバル・バリューチェーン分析の統治構造の概念に基づき,考察を行った。茶葉の栽培・製造,出荷段階では,「拘束型」や「統合型」の統治構造がみられ,シッパーが統治主体となる。フェアトレード認証基準を遵守するために,茶園に対するシッパーの調整力や交渉力が要求される。茶葉の調達,製品加工,販売段階では,「モジュラー型」の統治構造がみられ,日本のフェアトレード認証事業者が統治主体となる。フェアトレード認証基準が含まれるため,取引はやや複雑になるが,フェアトレード認証事業者は実需者ニーズを踏まえた調達,製品加工,販売を行っている。

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© 2023 食料・農業・農村経済学会
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