2023 年 2023 巻 136 号 p. 1-17
本稿では,紅茶に焦点をあて,フェアトレードにおけるバリューチェーンの構造分析を行った。特に,グローバル・バリューチェーン分析の統治構造の概念に基づき,考察を行った。茶葉の栽培・製造,出荷段階では,「拘束型」や「統合型」の統治構造がみられ,シッパーが統治主体となる。フェアトレード認証基準を遵守するために,茶園に対するシッパーの調整力や交渉力が要求される。茶葉の調達,製品加工,販売段階では,「モジュラー型」の統治構造がみられ,日本のフェアトレード認証事業者が統治主体となる。フェアトレード認証基準が含まれるため,取引はやや複雑になるが,フェアトレード認証事業者は実需者ニーズを踏まえた調達,製品加工,販売を行っている。