抄録
本研究では,重度障害者の地域生活を支援しているグループホームでのサービス利
用の実態を把握することで,重度障害者の地域生活のあり方を探る一助とするため,先駆的な
取組みを行っているグループホーム 9 箇所 53 人の利用者に対するタイムスタディ調査を実施
した.調査結果から,①利用者の特性に応じ適切な職種により支援が行われるならば,障害の
程度や年齢に関わらずグループホームを住まいの場とした地域生活が可能であること,②医療
的ケアへの対応を含む重度障害者に対応したグループホームの展開により,これまで地域生活
が困難であると考えられてきた者や,「親亡き後」の住まいの場の確保が困難と考えられてき
た者等の地域生活の継続にかかる展望が拓けていくこと,③知的障害のうち,特に行動上の問
題については,当該行動が生じた際の対症療法的な支援以上に,これら間接的な支援や環境へ
の配慮(環境調整)が重要であること,等が明らかとなった.