2020 年 13 巻 p. 43-66
本研究は,平成30(2018)年4月より新たに創設された就労定着支援について,自治体における指定の状況や,就労定着支援事業所での利用者の状況や支援の内容など,サービスについての実態把握と効果の検証を目的として実施した.研究内容は,各都道府県,指定都市,中核市を対象に就労定着支援の指定状況等の調査及び,サービスを提供している指定事業所や利用者を対象に,サービスの実施状況や制度の効果,課題等についての調査を行った.その結果,指定事業所は全国で1,275事業所であった.利用者は,年齢は20歳代から30歳代が中心で,利用者の障害種別は知的障害,精神障害,発達障害の3障害で大半を占めていた.制度の効果として,①就労定着につながる支援,②利用者の安心感につながる支援,③就労先の理解の向上があげられ,今後の課題として,報酬等制度の検討や,生活場面の支援,支援終了後の切れ目のない支援の遂行などがあげられた.