2023 年 16 巻 p. 14-26
強度行動障害を有する者への障害者支援施設における集中的支援の必要性や在り方が様々な場所で検討されている.A園では,2009年より「行動障害等を有する者や精神科病院に社会的入院等をしている知的障害者を受け入れることとし,有期限のモデル的支援として取り組むこと」を掲げ,2023年3月に厚生労働省が取りまとめた「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会 報告書」における集中的支援の役割を持つモデル的な取り組みを行ってきた.本研究では,この取り組みの支援効果と課題点を確認するため、資料調査等を通して,①強度行動障害判定基準表の点数、②身体拘束の状況、③生活の広がり等の変化を把握し、考察を行った.その結果,通過型機能のモデル的事業を利用することは,強度行動障害判定基準表の点数の減少や身体拘束の状況の改善,生活の広がりに一定の効果があることが明らかとなった.