2013 年 6 巻 p. 98-107
のぞみの園では余暇的な活動を中心に,高齢知的障害者に適した日中活動の提供を進めてきた.そうしたプログラムを楽しむ利用者も多くいる一方で,中には活動内容や提供方法が本人の趣味・嗜好や心身の状況に合っておらず,結果として参加できる日中活動が少なくなっている利用者もいる.そうした状況を踏まえ,本研究では,高齢者向けプログラムを含む日中活動への参加が少なくなっていた高齢の利用者2人への実践から,個々に合わせた効果的な日中活動の選定方法を探ることを目的とした.過去40年間の支援記録等から,①心身機能の状況,②活動歴(趣味,作業的活動,余暇的活動,寮内での役割)を整理したところ,各利用者が好んで参加していた活動等を確認することができた.そして,現在の各利用者の心身の状況を踏まえた形でそれらの活動を提供した結果,両者とも積極的に活動に参加するようになり,職員や他の利用者との関わりも増える等の変化が見られた.これらの結果から,高齢知的障害者に適した日中活動の選定方法について検討した.