主催: 看護薬理学カンファレンス
会議名: 看護薬理学カンファレンス 2025 in 幕張
回次: 1
開催地: 幕張
開催日: 2025/03/20
生体は常に恒常性を維持するために刺激に応答しますが、その応答性の感度や程度には個人差があります。薬が体内に入った時の応答性も同様で、医 療においてはその個人差に秩序立てて対策を立てることが肝要です。従って 性別・年齢・遺伝子多型・人種などの個人差要因別に薬物動態や薬力学的 応答性を整理することは、そのような個別化医療に貢献できると考えています。
哲学者プラトンの説では、人間は元来、男女一体のアンドロギュノスという 生物であったところ、ゼウスに分断されて、半身を求めて生きていくことになっ たとのことです。両性の生物であれば性差の問題は生じなかったのかもしれま せん。しかし現代に生きる我々は、健康な生活の中でも、疾患に罹患した時で も、男女の違いを強く認識する場面があり、もし片性に偏った医療となってい るのであれば、健やかな方向へ是正する必要があります。
本講演では、薬物に曝露された場合の身体の応答性に性差が生じる要因を、 経口薬をベースに体内からの消失の素過程に基づいて考察し、特に代謝過程 の性差を中心に概説します。また、臨床の薬物治療の性差事例や、医薬品が 承認されるまでの女性の組み入れ 状況・性の取り扱いなどを振り返り、その 程度や対処についてご紹介します。最後に、今後の性差医学の課題や展望を 整理し、共有させていただきます。