本研究では、都市部(世田谷)に生活する学生と、農村部(淡路)に生活する学生に対して、両者の生活環境の特徴を有する景観(芝生広場、河川、農地、街路樹、住宅地)について、SD 法によるアンケート調査と因子分析を行うことで、お互いの景観における好ましさや、イメージの違いを明らかにした。全被験者(世田谷および淡路)の好ましさの評価は、芝生広場 > 河川 > 農地 > 街路樹 > 住宅地の順となり芝生広場が最も高かった。また、好ましさが高い景観で「心地よさ」「美しさ」の因子の値も高くなることから、両因子が景観の好ましさに関係すると考えられた。さらに、世田谷の学生は農村部の景観を、淡路の学生は都市部の景観を好ましいと評価しており、その要因としてお互いの生活環境に不足している要素が影響していると考えられた。因子分析の結果より、世田谷の学生は、農村部の景観に「心地よさ」や「安心感」を見出し、淡路の学生は、都市部の景観に「空間の美しさ」や「珍しさ」を見出したと推察された。