抄録
自然再生推進法の施行以前に、順応的管理の考え方を採り入れた方法で、工業団地内の洪水調整池と、敷地内に残存した湿地の管理を行った。調整池の一部では、防水シートを敷設後、水生植物が植栽され、自然の再生が目指されていた。初年度の基礎調査で、湿地には貴重種のカザグルマやホトケドジョウが確認され、豊かな自然環境に恵まれていることがわかった。このポテンシャルを活かすことで、動物の移動等を通じて、人工的な環境である調整池の自然再生も果たされると判断し、その手段として、モニタリングで整備方法を評価し、適宜、方法を変更していく順応的管理を採用した。モニタリングと平行した除草や間引き、除間伐等から成る2 年間の管理作業の結果、湿地内に侵入していた外来種は抑制され、新たに貴重種としてタガメが確認された。水生植物の植栽を終えた調整池には、少しずつ昆虫類や両生類、水辺の鳥が訪れ始めている。