本研究は,瀬戸内海の倉橋島において新たに分布が確認された塩生植物のシチメンソウに関して,その生育環境の特性を明らかにすることを目的とした。現地調査では先ず,小型UAV を用いて植生図を作成し,塩生植物各群落の分布を把握した。次に各群落の環境要因を把握するために,合計42 箇所の調査地点を設けて,地盤高や土壌のEC,波あたり強度,土壌三相,導流堤頂部および防潮堤からの距離を測定した。シチメンソウ群落は,他の4 群落より地盤高が低く,冠水頻度や土壌塩分の高い立地に分布していた。また,導流堤から離れた立地に分布しており,波あたり強度も高い値を示した。対象地のシチメンソウ群落は,塩分ストレスや土壌水分が高く,波による攪乱を受けやすい立地を選択していることがわかった。